青空の下の机

旅をして、写真を撮って、生まれた想いを小説に籠める。

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掌編小説:夏の記憶

 ――朝は六時三〇分に起きた。いつもこの時間に目覚ましをセットしている。

 ちょっと寝過ごしちゃったけど、なんとかラジオ体操に間に合って、おじちゃんにハンコを押してもらった。
 今のところ僕は一回も休まずにラジオ体操に行っている。だんだんと、手もとの紙が朱色に染まるのを見て、なんだか達成感を覚えた。
 うちに帰って、朝ごはんを食べて、僕は夏休みの宿題をするんだ。先生が「涼しいうちにやっておきなさい」だって。

 ――風鈴が風を受け、チリン、チリン、と柔らかい音を奏でている。

 お昼にそうめんをすすって、その後は友達とセミ取り。むぎわら帽と虫取りアミを取って、僕は元気いっぱいに家を飛び出した。「暗くなる前に帰るのよー」って、後ろからお母さんが叫んでいた。

 ――入道雲がもくもくと空を覆っている。それでも深々と蒼い空は隠しきれない。そして太陽はそんなことを気にもせず、ただ天へ、天へと昇り、その日差しを強めてゆく。

 僕たちはいっぱい虫を捕まえた。ミンミンゼミにツクツクボウシ、友達のケンちゃんなんかノコギリクワガタまで捕まえちゃった!
 途中でケンちゃんの家によってスイカをもらった。甘くて、冷たくておいしかった。
 そして、プールにも行った。みんなで飛び込んで、管理員さんに怒られた。
 でも、みんな笑っていた。これくらいでは僕たちのやんちゃはおさまらない。

 ――日が山に姿を消していく。世界は赤く染まり、そこらの林から、蜩が悲しく切ない声をあげる。

 みんなとバイバイして、僕は家に帰った。お母さんが夕ごはんにカレーを作ってた。
 カレーを食べて、お風呂に入って、寝る前に僕は日記をつけた。

 夏休み、いつまでも続くといいな。


 ――嗚呼、夏休み。
 お前は残酷なものだ。
 こうやって私たちの心を潤し、そしてその日々を思い出す度に、私たちの心を抉る。
 嗚呼、夏休み。
 お前はどこへ行ったのだ。
 今の私は、蝉や風鈴の音に耳を傾け、空を見上げてただ時が過ぎるのを待つだけになってしまった。
 嗚呼、夏休み。

 大人になれば、そんなもの、どこにもない。



以下、あとがき
あとがき

夏休み。

この単語を聞いて、貴方は何を思い浮かべたでしょうか?

きっとそれには、何か大切な思い出があるのでしょう。

そして、その記憶を頭に浮かべて、こう思うんです。

もう一度、あの頃に戻りたい……と。
  1. 2012/08/07(火) 13:55:02|
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