青空の下の机

旅をして、写真を撮って、生まれた想いを小説に籠める。

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紅いバラ

Prologue and PartⅠ
  プロローグ


 私たちの出会いというのはそう……、あまりにも突然だった。四年前、私たちは憧れのT大の見学でたまたまぶつかって知り合ったのだから。
世間はこのことを「運命の赤い糸」と言うと思うけど、そんなのとは全く持って違っていた。私はとんでもない過ちをしてしまったんだ。そう私があのことを口にしたあの言葉――


 東京都八王子市のとあるアパート。そこに私、相川静子と私の彼氏の竹中翔は住んでいた。アパートは二人で住むには少し窮屈だったけどその狭さは逆に幸福を感じた。最初のころは私たち二人とも学生なのでなかなか家事とかが出来なかったけど卒業した今は翔が働いてくれていて、大分生活が安定してきた。私は幸せだった。
 ただし、そんな私は一つだけ不満があった。それは、いつまでたっても翔が結婚について考えてくれない。私たちは付き合って早四年、もうそろそろそのことを口にしてもいい時期のはずなのに。
 だから私は決心をした。むこうが考えないならこっちが切り出そう。と……


  


その日は本当に綺麗な満月だった。それは少し小汚いアパートから見ているせいなのか外で見るより綺麗な気がした。
 私たちは夕食を食べていた。翔は毎度のように「美味しい」って言ってくれる。だけど私が言って欲しいのはその言葉じゃない。私は一つ間を取ると、体の中にある勇気を全部振り出して言った。
「ねぇ、私たち同居してもう一年よ。もうそろそろ結婚とか考えてよ……」
 言えた。きっと彼も考えてくれるはず……
 だけど、すぐさま返ってきた言葉は私の期待を崩すような言葉が出てきた。
「無理だろこんな不景気の中で。もうちょっとくらい待てないのか?」
 私はだんだん頭に血が上った。全く持って考えてないのに加え、「もうちょっとくらい待てないのか?」なんていう言葉。それを聞いて怒らない人がこの世にいるだろうか?
「何? あなた、お金と私どっちが大切なの!?」
「仕方ないだろ! 入社してやっと半年なんだぞ! 今の生活がやっとの給料なんだぞ!! そんなので……」


 その部屋の中に、乾いた音が鳴り響いた。
 いつの間にか、私の手は翔の頬を叩いていた。頭が真っ白になる。その後から私の目からぽろり、ぽろりと涙の粒が流れた。そして、
「もういいわ。私たち、別れましょう……」
 多分、前までの私だったら私の口からこのような言葉が出たのは心底驚いただろう。全然そんな気もなかった。だけど数々の悲しみや裏切りから私の心はそのこと一色に染まっていた。
「おい! 待ってくれよ、静子!」
 私の耳にはその言葉は届いていた。だけど私は分かっていた。ここで許してはいけないと。
 私は荷物をまとめ、玄関へ向かった。途中、何度も翔が止めようとしたけど無視した。「おい、静子!」とか「待ってくれ!」とか。多分強制的に止めていたなら私の人生は大きく変わっていただろう。
 つい先日買ったばかりの紅いヒールを履き終えた。翔は諦めたのか、もう止めようともしなかった。ただ奥のほうでひたすら「許してくれ、静子……」とつぶやいていた。そのことを気にも留めずに私は即座に戸を閉めようとした。その時、玄関に置いてあった赤いバラの花びらが散った。


 私は一旦間をおいた後、駅へ少し急いで歩いた。駅に着いたとしても当然電車などはない。私は一晩、駅で待っていた。とても寒い……もし冬だったら私は確実に死んでいただろうとも思った。
 だけど私には帰るところは一つしかないそこへ行くために、私はただ待った。


                         ――To be continued




Dec,28,2010 原作:友人SM 著:Як-3
  1. 2010/12/28(火) 12:03:00|
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