青空の下の机

旅をして、写真を撮って、生まれた想いを小説に籠める。

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紅いバラ

PartⅡ
  Ⅱ


 私は一息ついた。とても寒い場所でひたすら待って電車で東京駅に着いた後、ようやく新幹線に乗れたのだから。
 ようやく実家に帰れる。半年ぶりだなぁ。そう感じながら私は昨日寝てなかった分を取り返すように眠りにつこうとした。


――ピリリリリリリリリリリリリリリリリ!!
「!?」
 私の眠りを妨げたのはポケットにある携帯電話の着信音だった。
 私はすぐさまその紅い携帯電話を取り出し画面を見た。そこには以前の私だったら喜んで出た相手の名前が書かれていた。私は少しためらって、電話に出た。
「何?」
「ごめん静子、昨日のことは許してくれ。頼むから戻ってきてくれ……」
「言ったでしょう? 別れましょうって。もう私とあなたの縁は切れたの」
「ちょ、ちょっと待ってくれよ! しず……!」
 私はうんざりして携帯の通話を切った。
 馬鹿な人。失ってようやく大切さに気付くなんて……
 私は一つため息をつき、窓に映った自分を見つめた。
 新幹線が駅について、私は電車に乗り継いだ。
 私の実家は、和歌山県の中でも一番田舎くさい所だった。だけど今となっては嫌だったその田舎くささが少し好きだった。



 私は疲れていた。新幹線で眠ろうとしたらいきなり電話が来たり、何回も何回も乗り継いだりしてとても大変だった。
 二十五、六分歩くと、そこには赤い屋根で広い庭、古臭い和風の家が見えてくる。庭のところどころには松などの木々が生えている。
 私はその家の門を開けて、そこには場違いなインターホンをそっと押した。
「はいは~い……」
その温かく懐かしい声がした後、ゆっくりと玄関の戸が開いた。
「どちら様……あら! 静子じゃねえかい!! どうしたんだい?」
 目の前には私と姉を女手一つで育ててきた母、優子の姿があった。


 私は少し寝たあと、居間に行った。居間は広く十五畳半もある。襖は半年前にはりかえたばかりなのでまだ新しい。お母さんは温かいお茶を淹れてくれた。私は半分愚痴こぼしでつい先日のことを話した。
「そうかい、翔さんと別れたのかい。そりゃ~大変だったろうに……」
 私はゆっくりうなずいた。
本当はお母さんにあまり心配をかけたくなかった。私が小さい時に夫である私の父さんを亡くしたし、今では大分歳もとっている。
「それよりもお母さん。体の調子は?」
「相変わらず駄目でねぇ……」
そう言うとお母さんは自分の腰をトントン、と叩いた。
「そういえば最近、ボランティアで介護に来てくれるのよ」
 私は安堵した。当然誰もいないよりいたほうが心強い。私は一つ、質問をした。
「へぇ~。どんな人?」
「とっっても優しいお人で名前は確か……」
――ピンポーン
「あら、来たよ!」
「じゃあ、私が行くね」
 私は玄関に駆けつけて戸を開けた。一体どんな人なのだろう? そんな期待が混じった気持ちで玄関の戸をそっと開けた。
「こんにち……」
「こんにちは」
私の頬は赤く染まった。目の前にはとても笑顔が素敵な男性がいた。そのとき私が傷ついていた後だからなのかは分からない。私は目の前の殿方に一目惚れしてしまった。
 こうして私と俊喜さんは出会った。


「いつも母がお世話になっております」
「いえいえ、好きでやっていますので」
「本当にいつもありがとうねぇ……」
 いつも私のお母さんの介護をしていたのは西村俊喜さんって言うらしいの。彼は翔とは比べ物にならないほど素敵だった。スポーツを余程していたのか日焼けした褐色の肌だった。
「あ、そういえば洗濯物を干すのがまだでしたね」
「じゃ、じゃあ私も行きます」


「そうなのですか! 私も同じ高校でした!」
「そうなんだ。じゃあ、吉川先生って知っている?」
「知っています! 数学の先生でした」
私たちはすっかり意気投合した。その時間は短い時間だったけどそんなことが全然感じられなかった。
そのとき、私の気のせいなのか分からないけど、誰かが走っていく音が聞こえた。


                         ――To be continued



Dec,28,2010 原作:友人SM 著:Як-3
  1. 2010/12/29(水) 14:04:00|
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