青空の下の机

旅をして、写真を撮って、生まれた想いを小説に籠める。

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超能力、売ります、買います。(3)

 薄暗い中、赤や黄など様々な光が閃いて部屋の中を飛び交っている。青春を謳歌している学校帰りの学生の集団から、何時間もそのゲーム台に居座っていそうな猛者まで。たくさんの人が娯楽の一時を過ごしている。
 俺はどうしてもこの環境に馴染めない。別にゲームが嫌いなわけではない。雑音という雑音がそこら中から響き渡り、狭い通路に人が密集する。独特の雰囲気がどこか犯罪を引き起こしそうで、お世辞にも落ち着ける空間とは言えない。
 カズヤはゲーセンに到着すると同時に走りだし、姿を消した。
 どうやら、俺は必要なかったようだ。
 ……何で連れてきたんだ?
 疲労が一気に駆け巡り、頭に手をあてため息を吐いた。
 仕方ない。俺も遊ぼう。
 フラフラしながらもゲーセンのさらに奥へ入った。
 カズヤを見つけるのには、そう時間は掛からなかった。あいつはいつも最初にシューティングゲームをしないと、気が済まないのだ。そしてここにその類いのものは一つだけ。案の定、カズヤはすでに始めていて、銃型のコントローラーを画面に向けて、次々に映し出されるゾンビに風穴を空けていた。
「なあ、俺が来る意味あったか?」
「うーん、ないね」
 即答かよ。視線もこちらに向けず、彼はただ俺の言葉を受け流している。
「じゃあ何で連れてきたんだよ」
「まぁまぁ、そう怒るなや。リョウタも何かして日頃のストレス解消しときな」
「誰がそのストレスを生みだしてんだよ。……まぁいいや。トイレ行ってくるから、もしそれが終わってもあまり動き回るなよ」
「へいへい、行っトイ……」
 カズヤの茶番を聞き終わる前に、すでに俺はその場から離れていた。

 何ということだ。
 ゲームセンターのトイレというものは、まるで別世界だ。あれほど鼓膜を破ろうとしていた騒音もなくなり、一面真っ白で少しひんやりとした空気。あまりに対照的だからよりこの場の殺風景さが引きだっている。
 だがそんなこと、今はどうだっていい。

 紙が、ない。



続く
  1. 2012/12/24(月) 16:52:15|
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