青空の下の机

旅をして、写真を撮って、生まれた想いを小説に籠める。

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超能力、売ります、買います。(4)

 これは不覚だった。こんなベタな罠にかかるなんて。
 今の俺は、尻を出した状態で、ただ嘆くだけだ。しかも最悪なことに、辺りを見渡しても予備のトイレットペーパーらしきものも見当たらない。助けを求めようとしても、人はいない。もちろん非常ボタンというものもない。
 まだだ。まだ慌てる時ではない。
 そう自分に言い聞かせて、心を平静に保った。しかし、そう長くはもたないようだ。
 俺はこの状況をどうしたら打破できるかあれこれ模索したが、どれもすぐ暗中に落ち行く。
 自分でも顔がどんどん青ざめていくのが分かる。
 今の俺は絶望的だ。
 神様に頼んだって、紙が降臨するはずもない。ついでに、洒落でもなんでもない。
 今日、何度目かのため息を吐いた。そのまま、吐き出した分の空気を深く吸い込み、決心した。

 人間、やめよう。

 俺は拭くのを諦めた。すっきりとした心持で、便座からお尻を浮かせた。
「…………あ」
 俺は立ち上がった光景に開いた口がふさがらなかった。
 よく探し物をするときに、親から「視点を変えなさい」と言われたことがある。それは、単なる比喩表現であって、そのままの意味ではない。
 と、この瞬間まで考えていた。
 立って手を伸ばせば届くところに、小さな棚がある。
 そして、そこにはずっと探していた物が、何ロールも、丁寧に並べられている。

 紙様。……もとい、神様。
 ありがとう。


 なんて、茶番をやっている暇はなく、俺は手を洗ってすぐにカズヤの元へ戻った。というのも、あまりにもトイレ長すぎると、
「大やったんか? でかかったんか?」
 と、あまりにもデリカシーのない質問の連発を大声で食らうので。
 まあ、もう手遅れな気もするが……
 そんなことを考えながら、あいつが遊んでいたゲーム台にたどり着いた。
「はあ……。あいつどこ行きやがった」
 ご丁寧にコントローラーは指定位置に戻され、画面はゲームオーバーの文字が中央に浮かび上がった。
 他の誰かがプレイしていた可能性もあるが、この状況から考えると、まだ遠くには行ってなさそうだ。
 ……というか、これではまるで急に消えたみたいだ。

 …………?
 ……………………。
 もともと騒がしい空間だからか、それとも周りをよく見ていなかったからか、違和感に全く気付かなかった。
 人々が煙にでもなったかのように、誰一人いない。
 ただ、使用中のゲームがいたるところにあった。
 娯楽を楽しみにやって来たのに、途中で放棄するなんてありえない。

 嫌な予感がする。
 嫌な予感しかしない。



続く
  1. 2013/01/09(水) 18:37:40|
  2. ┣超能力、売ります、買います。
  3. | コメント:2
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コメント

受験ですよね…

あぁ、面倒という言葉しか出ない。
この人生の分岐点から逃げたいだけなんでしょうが、避けられないんですよね。

ほんと、お互いに頑張りましょうね!


ネタはあるんけど上手く本文にできていない、たぬきぽんでした。
  1. URL |
  2. 2013/01/13(日) 16:05:17 |
  3. たぬきぽん #-
  4. [ 編集 ]

もうこんな時間か。
あと一年なんですね……。

逃げてたら、いつか、逃げ場はなくなりますからね。

さあ、勉強、勉強。
頑張りましょう。


ネタを本文にしても三流丸出しの、僕でした。
  1. URL |
  2. 2013/01/14(月) 13:10:32 |
  3. 矢口鳥居 #p5lhhhS6
  4. [ 編集 ]

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