青空の下の机

旅をして、写真を撮って、生まれた想いを小説に籠める。

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紅いバラ

PartⅤ
  Ⅴ


 翌日、台風が近づいてきたらしく、大きな音が聞こえるほどの大雨だった。
 俊喜は朝早くに起床し、郵便受けへ向かった。
 そこにはいつものようにビニールに包まれた新聞紙があった。それに紛れて手紙が一通届いていた。
 俊喜は送り主を見た後、すぐに破り捨てた。
「!?」
 急に人の気配がして俊喜は玄関の戸を開けた。そこにはパーカーのフードをかぶった翔が立っていた。長い間いたらしく、パーカーはずぶ濡れだった。
「君が翔君か」
「静子と別れろ……」
 その声は少し殺気を帯びていた。だが俊喜は少しも動じなかった。
「君はもう静子さんとは別れたのだろう? 静子はあぁも嫌がっているのに」
 そう言った途端に翔は怒鳴りたてた。
「俺たちは交際して四年だ! 俺は昔も今も愛しているんだ!! 静子も……」
「『愛』と『エゴ』は違う!! 君の静子に対する『愛』は自分勝手な『エゴ』のことだ!!」
 その言葉は張りがあり、どんな優秀な弁護士よりも説得力があった。そのためか翔は黙りこんだ。
「もう静子さんには近寄るな」
 そう言い残し、俊喜は家の中に入り、力強く玄関の戸を閉めた。
「だったら確かめてやろうじゃないか」
 力強く拳を握ってそう言うと、その場から去った。


 そのまた翌日も大雨だった。私は家で洗濯物を畳み、俊喜さんとお母さんは買い物に出掛けた。今日もいつもどおり平和な日だと思っていた。だけど現実は全くもって異なっていた。
――ピンポーン
「あ、は~い」
 誰かが来たので私は玄関へ向かった。きっと宅配便か何かだろう。そう思っていた。
だが戸を開けた瞬間、私は心臓がはち切れそうになった。
 そこにはずぶ濡れでパーカーのフードをかぶった翔の姿があった。
 私はとっさに戸を閉めた。だがそれを止められてしまった。
「待ってくれ静子! 話がしたい」
「もう私に近寄らないで!!」
「俺は今も静子を愛している。静子もそうだろう!?」
「いいえ。それはあなたの自分勝手な考えだわ! もうあなたとは別れたの!」
「もう愛してないというのなら……」
 翔は急に怒り出したと同時に戸を無理やりこじ開けた。そしてパーカーのポケットの中から光る何かが出てきた。
 ナイフだった。
 そう認識した瞬間に私はひたすら逃げた。翔も土足のまま家の中へと侵入した。
 私はとりあえず電話がある台所へと向かった。あと少し。
だがそこでうっかりと躓いて前へと倒れた。
 とっさに後ろを振り向くと翔がゆっくりとこちらへ向かってきた。
「さぁ、静子……東京に帰るんだ。それとも……」
そう言いながら右手を上げた。同時にナイフが鈍く光る。
「いやよ。来ないで……」
 恐怖で体を支配されて動けなかった。言葉もろくに出なかった。
 私はここで死ぬんだとしか頭に浮かばなかった。


                         ――To be continued



Jan,15,2011 原作:友人SM 著:Як-3
  1. 2011/01/15(土) 21:24:10|
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