青空の下の机

旅をして、写真を撮って、生まれた想いを小説に籠める。

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掌編小説:苦悩

私は常に追われる日々を送っている。
去年は高校受験だった。その前は親の離婚騒動、さらにその前は友人の自殺――
悩みがない日々なんて、殆どなかった。
身の回りには問題が次々と飛び交い、私はそれに振り回される。

自分でも判っていた。だけど、周りが起こした種は、環境と時間が解決してくれると。
判っていた。自分では、何もできやしないんだって。

高校に入学して、私はふと一人になることが多くなった気がする。図書館で借りてきた本を休み時間に一読し、放課後に駄弁ることなく帰宅。家に着いたら、自分の部屋に籠っては自主学習に励み、疲れたら布団に入って眠り込んだ。悩んでいた時とは違って、寝心地がいい。

ある日、こんな夢を見た。
私はクラスの中心的存在。学級委員長で、男女問わず好かれていた。彼氏とは仲睦まじく、長期休暇にはアルバイトに一汗を流していた。
そんな日常が続く。強くは求めてなかったが、私には理想的な生活だった。
丸一年を過ぎた辺りで、私は目を覚ました。朝日がカーテン越しに部屋に入り込む。夢はあっという間に終わった。ひどく呆気なかった。
求めてなかったが――
いや、あんな人生を謳歌したい。

その日から、私の考えは変わった気がする。
進んで行事に参加して人脈を作り、明るい性格を演じた。その内、向こうから告白がやってきて、初めて異性と付き合うようになった。私には夢のような毎日だった。悩みがないどころか、むしろ幸せを噛み締めていた。
冬休みのアルバイトの採用通知が届くと同時に、とんでもない言葉が私を襲った。
「別れてくれないか?」

恋人からの一言だった。彼のことが大好きだったし、何よりも失いたくない存在だったから、どうにか引き留めようと必死になった。
しかし、別れの理由は、「他に好きな人ができた」。私にはどうすることもできなかった。
彼との別れを境に、眠れない夜が多くなった、睡眠不足のせいで授業に集中できない。彼の代わりになる存在は見つからず、次第に友人関係にも支障がでてきた。私と距離を置くようになり、後に陰口を叩かれるようになった。

私は悩みの絶えない日常に戻ってきた。そして、一つ確信したことがあった。
私はあの時、無意識に悩みから逃げていたのだ。特に人間関係。私は独りでいることで、対人の悩みから解放されようとなっていたのだ。
悩みは今までと違って苦痛に感じた。この世の終わりのような気持ちだった。そして、私は学校を行くのをやめた。私の部屋に籠ることで、人との関わりを完全に絶っていた。
それでも悩みはなくならなかった。それどころか私の身体を蝕むように毒されていった。
そのまま消えてなくなりたい。そう思い始めたときには、もう遅かった。
二階の窓から身を乗り出した。そのままコンクリートの床へと吸い込まれるように堕ちていき、首の骨を折った。

これで、私の人生を終わりにすることにした。
悩みから逃げるために。苦痛から解放されるように――



以下、あとがき
人は悩みながら成長して生きる物です。

そして、ほとんどの悩みが、実は自分が原因ではないことで悩んでいたりします。

自分のことで悩むのはほんの少し、
対人関係もろともの悩みなんて、
所詮周りに原因があるのです。
  1. 2015/02/15(日) 18:56:56|
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