青空の下の机

旅をして、写真を撮って、生まれた想いを小説に籠める。

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超能力、売ります、買います。(1)

――みなさん、超能力はいかがでしょうか?
 人類は約五〇〇万年前はただのサル同然でした。衣類もなく、道具も使わず、定まった場所生活をしない、まさに自然と一体された存在。
 しかし、そのサルは道具を使うようになり、火を使うようになり、衣類を身にまとい、定住地を設け、そして物事を考えるようになった。
 そして今日、人類の進化はもう終わりを告げたのでしょうか?

 いいえ、まだ終わっていません。

 私たちはまだ進化できる。外見的には完璧の存在であっても、精神的にはまだまだ未熟です。そこを研ぎ澄ませば、我々はさらにもう一歩を踏み出せるのでしょうか。
 古来から、超能力というものがあります。
 これは今の人間の域を超えた力の総称。つまりは人類のこれからの進化の目標なのです。
 そのことについて、○○社は裏で研究をしているとの噂があり――
――いったぁぁああ! 大西選手、サヨナラホームランだ!
「…………⁉」
 誠実を表したかのようなスーツを身にまとった男性から、急にゴツく無精髭を生やしたオッサンのドアップに変われば、大抵の人は驚くものだ。
 事実、俺は状況がつかめず、キョトンとした顔でテレビ画面を眺めていた。
 画面に映る人は野球選手からニュースキャスターへ変化し、それからお笑い芸人、ベテランの映画俳優、またニュースキャスターが現れたかと思うと、もう一度アフロ頭の芸人に戻った。
「あはははは」
「『あはははは』……じゃねえよ! 俺がっつりテレビ見てたよ⁉」
 ソファで寝ころびながら自分のお気に入りの番組を鑑賞するという寮生活で数少ない至福の時を、パンツとリモコンのみを装備したルームメイトのカズヤによって見事に打ち崩された。
「……あ、そうなん? 寝とるんかと思った」
「俺が毎週この時間を楽しみにしているの知ってんだろ。さっさと戻せ、4だぞ」
 「はいはい」と気だるそうな返事を返しながら、チャンネルをもとに戻した。
 俺の楽しかったり、リラックスしている時に限って、こいつに邪魔されている気がする。カズヤは悪い奴ではないが、何というか、少々ウザい。
「それ、面白いか?」
 カズヤは奥で冷蔵庫の中を漁る音をたてながら聞いた。
 愚問だ。もちろん面白いから見ているに決まっている。でなければお前が発している雑音を不快に思わない。
 俺は毎週この番組を楽しみにしている。最先端技術やそれに関連するような噂、はたまたオカルトチックな都市伝説まで特集している。SF好きな俺は特に後者を好むが、画期的な技術を知るのも悪くない。
 今回のテーマは都市伝説の方だった。

――超能力。

 昔から個人が超能力と称してスプーンを曲げたり、相手がひいたトランプを当てたりするパフォーマンスをする連中はいたが、所詮タネのあるマジックをただ言い替えただけだ。素人の俺でもそれくらい分かる。
 しかし、放送されているのは全くの別物だ。

――超能力は最早、誰しもが手に入る存在なのです。

 画面内の男性は真剣な眼差しでこちらに訴えている。
「本当か? そんなことしたら絶対誰か悪用するわ~」
「それだったら核爆弾も似たようなもんだな。まあ、ほら。馬鹿とハサミは使いようって言うじゃん」
「ふーん。ほい、リョウタ」
 カズヤは炭酸飲料の缶を目の前にあるテーブルに置いた。
「お、気が利くじゃん」
 丁度喉も乾いていたので俺はすぐに手に取り、缶のプルタブをひねった。
――プシャアアァァァァァアアアァッ
 飲み口からありえないほどの泡が溢れだし、俺の手、および床、ソファは水浸しになった。
「相手が物体に何をしたのか分かる力があったらよかったな」
「…………」
 もし今俺に超能力が備わっていたら、真っ先にこの状況を楽しんでいるこいつを叩きのめしたい。
 胸の奥から殺意が湧いた。



続く
  1. 2012/11/19(月) 00:09:36|
  2. ┣超能力、売ります、買います。
  3. | コメント:0
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